" Casting a Spell "  by Jeff Gordinier
  
    ダニエル、ウィノナ・ライダーらが語る
    「クルーシブル」撮影の様子


      Entertainment Weekly  December. 6, 1996 
      from Danielday
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そして、誰よりもその気持ちを深く心にとらえたのは、デイ=ルイスであった。彼はこう語る。

「あの美しい島(ホグ島)で生活し、戸外での労働を毎日続けた結果、何事かが作用するようになっていた。それが、我々を育み、困難に立ち向かう力となったんだ」

マスコミはデイ=ルイスと彼の妻となったレベッカ・ミラーとの出会いが、ホグ島だったのかどうかを知りたがる。それについてレベッカの兄はこう断言する。

「撮影中のダニエルは彼が演じている役柄と、彼本人との間に存在する‘誰か’であって、本来のダニエルじゃないんだ。 彼は心身をすごく鍛練し、集中させるからね」

「お互いを良く知り合えたのは撮影の後じゃないかな」


今でもデイ=ルイスは映画のハイライトである、あの胸の張り裂けるようなジョンとエリザベスのシーンを心のなかに甦らせることができる。

深く息をし、20秒ほど動きをとめる。やがて驚くほどの激しい感情がダニエルを襲う。「感じるよ」 彼は続ける。

「あの瞬間に二人は、お互いへの深い愛情を再び確認しあうことができたんだ。それは、生きるか死ぬかの問題より大きな出来事だった」

「何よりもまず、生き、働き、呼吸する…その深い喜びを改めて見出せた瞬間の幸福感だ」

デイ=ルイスの発する強烈なオーラについて、既に‘エイジ・オブ・イノセンス’で演技上の対峙をしたウィノナ・ライダーはこう語る。

「一緒に演じる時、ダニエルの強さには抗えないの」「不可能なほどの高い水準があるの。だから、自分も可能な限りそれに向かって上昇しようとする。ダニエルがそうさせてしまうのよ」


もしホグ島での2ヶ月間がダニエルをして、「この島が自分の身体の一部であるかのように」感じさせるに至ったのだとすれば、55日間の撮影は周囲の人間すべてに、彼の言葉通りの変化をもたらしたことになる。

撮影がクライマックスに入り、自分の演じる‘パリス牧師’がこの物語を奈落のどん底に突き落とす役割だと知ったデイビソンは、こう回想する。

「どうやって演じたものか、すごく戸惑ったよ」
「そして、結局、僕はダニエルに導かれた。僕だけじゃない。全員がね。」

デイビソン、アレン、そしてデイ=ルイスの三人が氷のように冷たい風が吹き付ける浜辺に立ち、夫であるジョン・プロクター(デイ=ルイス)が妻と離別し、自らの人生とも別れを告げる場面。あの時の言葉は、まさにデイ=ルイスの全身全霊からの魂の叫びなのだ。


「そして撮影は終わった。僕は呆然としてただダニエルを見つめていた。」デイビソンは続ける。

「ダニエルも僕を見た。そしてほほ笑み、両腕を広げた。僕はその腕の中で泣いた。最後はダニエルの腕の中で泣いていたのさ」